中学受験で教育虐待に陥らないための方法

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わが子に中学受験をさせたいか

私は、母の主導で中学受験し、私立の進学校に合格しました。受験に合格し、私立の進学校に行くメリットは、自分が経験したので、よく知っています(くわしくはこちら)。

それでも、自分が妊娠していることがわかり、子供の教育について思いを巡らせた時(妊娠すると、将来の子供の教育費はいくらかかるのかなとか考えますよね)、一番に考えたのは「中学受験はやらせない」という、感情的な決めつけでした。どうしても子どもがやりたい、というなら別ですけど。

自分の中学受験が、今でいう教育虐待のような状況で辛かったので(くわしくはライフストーリーを見てくださいね)、メリットがいくら大きかったとしても心が「良かった」とは思えないのです。親に対する感謝の気持ちも、残念ながらわきません。

言い換えると、合格という結果は、教育虐待の過程を絶対に正当化しないのです。

あなたのため、という呪縛

「あなたのためを思って」と言う人に対しては、まず、

「自分のために生きてください」

と言葉を返していきましょう。

叶姉妹 オフィシャルブログより

教育虐待をしている親の多くは、心底子供の幸せのためを思って、将来のためにと信じてやっています。

しかし子供に暴力をふるったり、子供の意思に反して強制したり、親子関係に亀裂を生じさせてまで中学受験をすることが、子どもに幸せにつながることはありません

そもそも、中学受験に成功するか否かは子どもの問題であり、親の問題ではありません。子どもが落ちても「悪い親だ」などと誰も思いませんから大丈夫です。また、中学受験に失敗しても、大丈夫です。中学受験は人生の幸せを決めません。

それはわかっていても、子どもを指導するうちについつい力が入って、気づいたら教育虐待かも、という状況になっているかもしれません。そうならないために、どうすればいいのかを考えてみました。

教育虐待に陥らないためのチェックリスト5つ

①成績や子供の態度にかかわらず、基本的な生活を保障する

基本的な食事や睡眠時間はきちんと取らせるべきです。成績が下がったから夕ご飯はなし、この課題が終わるまで寝てはならないなど、基本的な生活を条件付きにしないことです。

②決して体罰はしない

成績が悪いから、勉強しないからなどで手をあげないこと。たとえ親であっても体罰は法律で禁止されましたが、今でも少しの体罰ならば、子供をわからせるために仕方がないと考える親もいるかもしれません。

しかし、体罰は内省を促しません。叩いても成績はあがりません。勉強の効率も上がりません。それに、子どもからすると、叩かれた事はずっと覚えているが、叩かれた理由はすぐ忘れます。私のように、大人になってもずっと悲しい思い出として反芻されるのは嫌ですよね。

以下は少し応用編です。

③中学受験に、子供の動機が入っていることを確認する

子どもが中学受験を全くしたくないのに、親の一方的な意思でやらされている状況は避けないといけません。どんなに些細な理由でもよいので、受験に子供の意思が入っていることを確認しましょう。例えば、制服がかわいいとか、友達と一緒にところにいきたいとか、給食が美味しそうとかでいいのです。今日、子供に真剣な顔で切り出してみましょう。

「お父さん、お母さんは、中学受験をすすめてきたけど、それは間違っているかもしれない。中学受験をしてもしなくても、あなたの人生の幸せと関係ないかもしれない。それでも、あなたは中学受験をしたい?」

そこで、子どもが「中学受験をしたい」と答えても、もうひとつ質問しましょう。「それは、どうして?」と。

子どもは基本的に親を喜ばせたいですし、親が中学受験を強く勧めている事は日ごろの態度でわかっているので、このような場合は受験をしたいと答えると思います。例えば私は当時、「中学に合格すれば人生はバラ色であり、合格しなければ、いじめられてヤンキーになりろくな人生にならない」という価値観を刷り込まれていました。なので、親が「中学受験はしなくていい!」などと言おうものなら、泣いて「勉強を続けさせてください」と言うような子供でした。だから、子供に確認してください。親が子供に教えた以外で、子供なりの動機を自分の言葉で説明できるかを。

④勉強のやり方や内容は、子供に決めさせましょう

親が、子供の勉強を細かく管理しないことがポイントです。誰でも、自分である程度自由な裁量があることには、自主的に取り組めますし効率が良いです。それは子供であっても同じです。逆に、親が子供の勉強を管理しようとすると、思うように動かない岩を動かすようなもので、親もストレスが溜まり、虐待の原因にもなります。勉強のカリキュラムは塾や、子どもに任せましょう。

⑤子供が勉強よりしたい事を1つ許そう
もちろん物には限度があるし、そんなことしたらゲームばかりして勉強なんてしない、と思うかもしれないません。しかし、制限時間などの条件をつけて良いので、1つ、子供が本当にやりたいことを許しましょう。

ここでポイントは、自分の自由度があり、自分の世界と呼べるものを子どもに残しておくことです。その時間は、ゲームをしていても友達としゃべっていても、漫画でも何でも良い。それが息抜きになるからだけではなくて、自分が情熱を持つ、受験と関係ない自分だけの小さな世界を維持することが、子供の精神安定上、有効だと思うからです。

そんなことして勉強は遅れませんかって?大丈夫、人はそんなに勉強できません。私は勉強時間の約半分は、親と喧嘩をして(親から殴られたり蹴られたりして)過ごしていました(くわしくはライフストーリーの「中学受験時代」を見てくださいね)。1日1時間とかでいいんです。それでモチベーションも向上するし、勉強の効率も上がります。

家族を幸せの泉に

ハーバード大学の有名な研究で、人生の幸せを決定する一番の要素は、良い学歴でも職業でもなく、長きに渡り良い人間関係に囲まれることだそうです(Ted talk What makes a good like)。そして子どもにとって一番身近にあり、長く続く人間関係は、家族です。

中学受験の結果で、人生は決して決まりません。一方、家族関係は一生付きまといますし、その人の幸せに直結します。私のように、私立中学に行ってその後も「良い学歴」を得ても、何十年たっても叩かれたことを思い出す子供もいるのです。

良い学校へ行けば子どもが幸せになる、というのは親の思い込みです。

親が鬼の形相で怒鳴らなくても、子どもは自分で状況判断でき、自分で勉強する力がある。たとえ、まだまだ小学生、へらへら遊んでいて受験に失敗しても、その子は、根本的に自分で人生の幸せを掴みに行く力があるから大丈夫。そう信じてみませんか。

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