中学受験時代 「ロビンソンノート」

このセクションでは、管理人Minikoのライフストーリーをノンフィクションでお届けします。今回は中学受験体験記①。わりと暗めですがご了承ください。

30数年前、ロビンソンノートという名の雑記帳があった。黄色い表紙で、小学生が使うノートとしては古風な見た目で、まさにロビンソン・クルーソーが無人島で使っていたかのような。

私は小学校5年生くらいで、中学受験をしていて、勉強しているふりをして、自室から外を見ていた。

団地の7階に住んでいて、窓をがらがらと開けてベランダの手すりをひらりと飛びこえれば、もうこの人生にさようならできる。その距離、わずか2歩。そんなことを考えながら、

「人生の淵に座って私は考える。もうここから飛び降りて死んでしまおうか」

小学生なりに精一杯気取った出だしの詩を、ロビンソンノートに書きつけたのが日記の始まりだった。

その時は週に2,3回は死んでしまおうと思っていたが、でも10歳やそこらだったので、本気ではなかった。ただ、ロビンソンノートに暗い詩を書いてみたり、団地の最上階(13階)の非常階段まで登ってぼんやり下を見て、誰か気づいて声をかけてくれないかなと期待してみたり、子供らしく人生に失望していた。

原因は、中学受験のことで、連日親から、殴る蹴るひっかく眠らせない、などの今でいう教育虐待みたいなものを受けていたことだった。でも、当時はそんなコンセプトはなかったし、みんなそんな家庭ばかりだと思っていた。

良い私立中学に合格したし、教育費も出してくれたし、いい親だとみんな思っていた。世の中にひどい境遇はたくさんある中で、私は恵まれていると。

時は流れて子どもが生まれて、自分も親になった。幸せいっぱいの毎日なのに、まさかの不眠。ロビンソンノートの黄色表紙が脳裏にちらつく。眠れない。これではいけない、ちょっと考えよう。

子どもを幸せに育てるために、自分がまず幸せに生きている状態にならないといけない。色々な過去と向き合うことにした。

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